2008年6月16日月曜日

ダムと石炭は中国へ任せろ

「ダムと石炭は中国へ任せろ」,と日本の電力,特に海外のプロジェクトを握るJパワ
ーは決心したように見えるという話をしたが,カンボジアはまさしく,少なくとも電力
セクターは,臆病な,と言うか慎重な日本が去って,中国企業が大挙して乗り込んでき
たために,全く時代が変わったように活気付いている。日本が主導していた頃は,本当
に大使館の顔色を窺いながら100KW造るにも青息吐息だったが,中国企業は数十万
KWどころか,数百万KWに手を出し,もう電力問題などはどこ吹く風,と言う風情で
ある。私も親しかったカンボジアの官僚達も,もう顔も忘れているだろう。

1990年頃に,ラオスで水力の民間開発が始まった頃,私は現地で日本企業の進出を
待っていた。三井物産や関西電力が今ラオスに入ってきてくれれば,まるで荒野を行く
ブルドーザーのように,大規模水力やダムは,何の心配もなく瞬く間に開発されるだろ
う,といつも想像をたくましくしていた。かっては米国全土を買いまくろうとした日本
のバブルは消えかけており,バンコクにいた三井物産の社長さんも,いやアダチさん,
水力は長いから勘弁してよ,と言われてガックリしたことがある。

それにしても中国の企業の勇敢さというか,商売があれば何のためらいもなくでて行く
中国企業の活力には感心する。かって東南アジアを暴れ回った華僑の精神そのもので,
もう中央政府のブレーキは全然効かない,国内で暴れ回った電源資金は,インフレを懸
念したり,燃料不足を懸念する抑圧感から解放されて,カンボジアやミャンマーで,龍
のように荒れ狂っている。


本文

●カンボジア政府,中国企業の二つのダム計画を承認

「ダムと石炭火力は中国に任せておけ」,と言うとおり,あのカンボジアで2つのダム
で合計584MW,更に2019年までには1,942MW,その上に2020年までに
輸入による石炭火力を9カ所建設するという,もうカムチャイ水力やココンの火力で唸
っていた日本勢などは,何の役にも立たない状態で,全くゴミみたいな話を日本は一生
懸命やっていたわけだ。

今回,フンセン首相出席の閣議で決定されたのは,カンボジア南西部に位置するスタン
タタイ水力246MW,スタンラッセイチュルムクロム水力338MW,合計約10億
ドル,建設資金はすべて中国企業が持ってくる。これらは今年着工して2014年,2
015年に運転開始する。更に,2019年までに9つの水力,合計1,942MW,更
に2020年までに石炭火力9カ所。

今日,名前の出ている地点は,いずれも旧来から取りざたされている地点ではあるが,
そんなに大きな出力ではなかったし,更に日本政府は治安問題や地雷で怖じ気づいてい
た地域である。恐らくとんでもない高いダムを造って出力を挙げているのだろう。全く
中国企業の勇気と資金力がカンボジアを根底から救うことになる。Jパワーの,ダムと
石炭は中国に任せろ,の政策は,日本に難しいことを言われるよりは,カンボジアにと
ってはどれだけ大きなインパクトになっていることか。

●ラオスのナムテン2水力,下流カンボジアに不安を

一方で,カンボジアのNGOは,弱々しい声で,上流,ラオスで開発されるダムによる
カンボジアへの悪影響を心配し,カンボジア政府はラオス政府と対話を行うよう求めて
いる。2009年に運転開始するナムテン2水力の水の影響や,ロシア企業が開発する
ナムコン1水力,セコン4水力などのセコン河の開発も,環境調査を行ったノルコンの
報告書が十分でない,と不満を述べている。

いずれも具体的でなく,流況が変化する,魚類に影響がある,など殆ど説得力のない主
張なので,誰も耳を貸そうとしない。もう少し理論正しく組み立てて,メコン河委員会
に持ち込むなど,協議のための場を積極的に造らなければ,まさしく犬の遠吠えになっ
ている。恐らく,ダムの運用について,下流国としては,下流民の安全のための設備を
理路整然と主張すべきだろう。

●インド国家送電公社PGCIL,世銀などより6億ドル調達を視野

現在インドは,一挙に電源不足の迫るべく,1カ所400万KW以上の大規模開発計画
を各地で推進中であるが,これに国家送電公社PGCILの対応が今後は問題となる。
とりあえず,政府保証のもと,ADBより4億ドル,世界銀行より2億ドル,合計6億
ドルを視野に入れているが,現在走っている第11次五カ年計画の実現のためには途方
もない送電線建設のための資金が必要となる。

次の財政年度には,540億ルピー,約12.4億ドル相当が必要であるが,2007年
~2012年までの第11次五カ年計画では,送電線建設費が700億ルピー,約1,6
30億ドル相当必要で,このうち2000億ルピー,約466億ドルを民間資金が負担
する計画となっていおる。2008年に於ける設備増強は,超高圧送電線が5,500回
線km,変圧器容量が6,300MVAである。


参考資料

2008年6月15日分

インド

●080615A India, Economic Times
インド国家送電公社PGCIL,世銀などより6億ドル調達を視野
PowerGrid to seek $ 600 mn more from World Bank, ADB
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/PowerGri
d_to_seek__600_mn_more_from_World_Bank_ADB_/articleshow/3126573.cms

カンボジア

●080615B Cambodia, phnom penh post
ラオスのナムテン2水力,下流カンボジアに不安を
Lao dams may cast long shadow downstream
http://www.phnompenhpost.com/index.php/200806126707/National-news/Lao-dams-may-
cast-long-shadow-downstream.html
●080615C Cambodia,
カンボジア政府,中国企業の二つのダム計画を承認
Cambodia govt approves 1bln usd Chinese dams
http://www.forbes.com/afxnewslimited/feeds/afx/2008/06/13/afx5113624.html

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