2008年6月24日火曜日

ベトナム戦争とナムグムダム

「ベトナム戦争とナムグムダム」,今日もパキスタンのWAPDA総裁が,バシャダム
など2500万KWの水力開発を行うのだ,といつものように気炎を上げて,電力不足
に悩むパキスタン国民を宥めに回っている。先日は,あのラオスの革命戦争の中,まだ
タイ経済も十分に成長していない中で,どうしてラオスのナムグムダムが出来たのだろ
うか,と疑問を投げかけた。

以前よりいろいろ資料を頂いている日本工営の小泉さんから,最近の氏の活躍の中で,
特にラオス国民に対する愛情に溢れた話をメールで聞かせて頂いた。ナムグムダムに対
する日本工営の当時の社長,久保田豊氏の話はよく聞いているし,そのメコン流域での
氏の活躍は,我々の世界では有名な話である。だから,久保田氏のような方が,走り回
ればプロジェクトが出来るのか,と言う一つの私の問いかけでもあったわけである。

小泉さんの書かれたもの読ませて頂きながら,久保田氏を初めとする日本工営の面々の
努力を偲びながら,やはり,「その時歴史が動いた」,みたいな瞬間があるのではない
か,と考えていたわけである。そこに注目しながら小泉氏の文書を読むと,特に,パテ
トラオとの革命戦争の中でのナムグム地域の中立化協定など,興味ある話がいっぱいあ
るが,「その時ナムグムが動いた」,と言うものも指摘してあった。

それは,私の解するところでは,ベトナム戦争の北爆開始,だったのであろう。久保田
氏などの積極的な世界銀行へのアプローチにもなかなか動かなかったプロジェクトは,
米国のベトナム戦争関連の10億ドル地域への投入で,その一部がナムグムに回される
ことになり,米国政府からもコンサルタントが送られて,久保田氏を初めとする日本工
営の努力が実を結んできたという訳だ。勿論,着工後もマラリアとの戦いやパテトラオ
との交渉など,苦労は大変なものであったようだ。

パキスタンは,多くの水力プロジェクトを抱えて,日夜,WAPDAなどが推進へ努力
しているわけだが,「その時ダムが動いた」,と言う瞬間がこれからもあるのか。ナム
グムではないが,戦争は結構プロジェクトを動かす結果になっている。ベトナムのホア
ビンダムなども,厳しい冷戦の結果なのだろう。そういう意味で,アフガニスタン攻撃
は,まさしくパキスタンの,歴史が動く瞬間であったのに,ムシャラフさんは惜しい瞬
間を逃した。


本文

●中国,国家発改委,電力料金値上げは,市場の改革を意図

数日前のロイター電,中国政府がエネルギー価格の改革推進の意をあらためて表明した
地点では,「アナリストの間では,北京五輪を8月に控え,政府は社会不安を回避する
ため,エネルギー価格の大幅な引き上げは行わないとの見方が多い。」,としてきた。
今回一転して値上げに踏み切ったのは,特に中国石油CNPCと中国石化CPCの財政
状態悪化があったものと考えられる。輸入が増えてきたこの二つの大規模エネルギー企
業の損失は,トン当たり3,000から5,000元に達していたとされる。

電気料金についても,2006年以来固定されており,状況は石油関係と同じ,特に石
炭の値上がりが大きな影響を与えた。もう8月まで持ちこたえられない状況だったのだ
ろう。発改委は,エネルギー市場改革への最初の動きに過ぎなく,今後の改革へのほん
の入り口だと言うことと,弱者層への影響を最小限に食い止めることを強調している。
今後,政府が気にするインフレ問題をどの様に制御してくるか,それが問題だろう。

●フィリッピン,国家経済開発庁NEDA,カガヤン開発で1,140億ペソを想定

「ルソン島北部には,フィリピンに2番目に長いカガヤン川という川が南から北に向か
って流れている。この川がつくる渓谷は,カガヤン渓谷と呼ばれ,川沿いに広大な平野
をつくっている。」,と記され,多くの考古学者が入っている。最近では,数少ないフ
ィリッピンの石炭埋蔵が確認されて,量的にも質的にも十分ではないが,資源の少ない
フィリッピンでは注目されている。

この地域は,太平洋戦争末期に上陸してきた米軍に攻められた日本兵が苦闘した地域
で,当時我々の回りでも,フィリッピンから帰国した数少ない傷病兵の方々を見かけた
ものである。「タケ」,と言う名前で書かれた文章,「そこを流れる川の名前を取って
「カガヤン平野」あるいは「カガヤン河谷」と呼ばれるその地域は,ルソン島有数の穀
倉地帯であった。 しかし、今や水田地帯も芋畑も、米軍の空爆や日本軍とゲリラの地
上戦等で,荒廃してしまっている。平地を見れば,荒れた田畑。森に入れば,戦傷やマ
ラリア等の病気で動けなくなった,あるいは息絶えた兵隊達。」。

フィリッピンで政府は,この流域の開発のために,堤防の建設やダムの建設を通じて,
洪水を制御し灌漑を進める総合開発計画を推進中である。2030年までに1,140億
ペソ,約257億ドル相当を注ぎ込む計画だという。この流域には,かってニュージェ
ックが発電計画を入れたことがあるし,最近ではJICAの開発調査で,日本工営が洪
水対策に関する開発調査を行っている。

●パキスタン,WAPDA総裁,水力で2500万KW発電を目標

WAPDAの水力開発への執念は強いが,なかなかかけ声だけで資金力に問題がある。
電力不足を水力開発のかけ声で宥めようとするが,話が長期に亘り問題である。今日の
記事では,まず短期的な話を前に持ってきている。小規模ダムによる総合500MW
や,レンタルベースの500MWなどである。レンタルとは,民間の施設を借り切ると
言うことか。

続いていつもの大規模な話に移るわけだが,最初に出てくるのはニールムジェールム
で,7年後に完成を目指している。総事業費1300億ルピー,約19.3億ドル相当,
KWh原価にすると1.92ルピー,約2.85セント相当,と極めて安いことを強調し
ている。続いて,4500MW規模のバシャ-ダイムラー,1200MWのコハラ,54
00MWのブンジ,と続く,いつもの調子である。

●マレーシア企業,ラオスに水力を建設

ナムセイン川,と言うのはどこか忘れてしまったですね,30万KWというからかなり
大きい。マレーシア企業が合弁を組んで入るという,既にラオス政府との間では合意が
出来ており,2014年に完成という。タイへの売電を狙っているのだろうが,それに
ついては触れていない。マレーシア企業は,ナムテン第1水力で活躍中。


その他

●中国企業,カンボジアで水力建設,540百万ドル


参考資料

2008年6月21日分

パキスタン

●080621A Pakistan, Daily Times
WAPDA総裁,水力で2500万KW発電を目標
Hydropower projects to generate 25,000 MW: Wapda chairman
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C06%5C21%5Cstory_21-6-
2008_pg7_17

フィリッピン

●080621B Philippines, Manila Bulletin
国家経済開発庁NEDA,カガヤン開発で1,140億ペソを想定
NEDA puts cost of Cagayan River dev’t project at P114 B
http://www.mb.com.ph/BSNS20080621127837.html

ラオス

●080621C Laos, The Star
マレーシア企業,ラオスに水力を建設
Local consortium wins mandate to build power plant in Laos
http://biz.thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/6/21/business/21617162&sec=business

中国

●080621D China, Xinhua Net
国家発改委,電力料金値上げは,市場の改革を意図
Latest fuel, electricity price rise part of "steady" reform on resources
prices
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/20/content_8410130.htm

カンボジア

●080621E Cambodia,
中国企業,カンボジアで水力建設,540百万ドル
China to build $540m hydro plant in Cambodia -media
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK21739420080621

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