2008年6月28日土曜日

残念なお知らせですが、"文明"について想定されてきたことが分裂しつつあるのです

「残念なお知らせですが、"文明"について想定されて
きたことが分裂しつつあるのです」
by Sharon Astyk
http://energybulletin.net/43111.html

「残念なお知らせですが」
シャロン・アスティーク

 気候変動とピークオイル問題を考えている人たちは他の心配事がなくなると、
はたして起こるのは"急激な破壊"なのか"緩慢な消耗"なのかという避けられない
議論に果てしなくふけるものでしょう。

 そして私は友人の環境保護派の人たちが心配です。というのは、彼らはこの大
好きな気晴らしを奪われそうだからです。誰も見ていないところで私はこの答え
を知ってしまったのです。急激な破壊が起こるのだ、そしてそれは今なのだ、と。

 待て待てそりゃおかしい、とあなたは言うでしょう。だったら私たちはクンス
ラーのパニック小説の中にいるはずじゃないか、だけどまだクルマはあるし、い
い食べ物もある、これは緩慢な消耗のようにみえるぞ、だけどあんたはこれを急
激な破壊だと言うのかい?と。

 私がこのことに気づいたのは現在の食糧をめぐる状況を紹介しようと文章を書
いているときのことでした。急激な破壊ですら、その状況を生きている人に気づ
かれないこともあるものなのだと、新しい日常が生まれ、私たちはパニックに陥
るよりも速く状況を消化してしまうのだということに気づいたのです。

 ということで、この「残念なお知らせですが、"文明"について想定されてきた
ことが分裂しつつあるのです」という文章を贈ります。これを読んでどんな風に
思ったか、コメントをお願いします。

 二つのことが重要です。一つ目は一般的な政治コンセンサスとなっているの
が、食糧危機もエネルギー危機も激しくなる一方であって、私たちは初期段階に
いるのだということ。もう一つは、わずか2008年初めから4ヶ月経ったばかりだ
ということです。

 2008年の初めに世界の食糧とエネルギー供給はコースを逸脱しました。驚いた
ことに、それはじわじわとでも直線的にでもなく、誰も予想できなかったほどの
驚くべき速さで起こったのです。

 バイオ燃料と食肉の消費量の拡大からことは始まりました。それにより驚くべ
き速さで主要穀物の価格が高騰しました。2007年には食物全体のインフレ率は
18%であり新たな困窮層を生み出しましたが、それは氷山の一角でした。2008年
には、一ヶ月間のインフレ率が2007年の年間インフレ率を越える比率でした。

 その比率では、食物全体の価格は1年間で2倍以上になります。世界人口の半
分近くの人にとっての主食であるコメの価格は147%上がり、小麦は1日で25%も
増加しました。ほかの物価と同じく食物価格の高騰は均等ではなく、アメリカの
ような豊かな国でのコメの価格上昇は30%程度の一方、ハイチのコメ価格は300%
(3倍)に上がりました。

 ハイチは飢饉についての坑道のカナリヤ役でした。2008年初めまでの間に、ど
うしようもなく貧困な数万人のハイチ人はコメその他の市場からは完全に排除さ
れ、栄養分に富んだ泥とショートニング、塩だけの"クッキー"を食べて空腹を紛
らわせるところまで追い込まれています。

 女性は街路に立ち、子どもたちのために"食べ物を少し分けて食べさせて”と
言っています。何千人ものハイチ人はポルトープランスを"腹が減ったぞ"と叫び
ながら行進しており、実際にハイチ政府は援助物資を波止場で腐るに任せている
共謀者なのです。しかしハイチは単なる始まりでした。

 長いパン配給の列で起こった暴動がエジプトを揺るがした後、エジプト政府は
配給のパン焼きのために軍隊を出しました。
40ヵ国の政府が穀物の輸出を停止したり禁足的な高い輸出税を課しました。
 輸入国が興りつつある飢饉にあらがい始めるにつれて食糧の価格は出し抜けに
上がりました。
国連は、パキスタンやメキシコ、北朝鮮、インド、エジプト、南アフリカなどを
含む33カ国が不安定化しつつあると警告しています。これらの国の多くが核兵器
を保有しています。

 しかしこの危機はすでに貧困な人々の間だけにとどまってはいません。エコノ
ミスト誌の記事では中流階級にまで広がっているとされています。世界食糧プロ
グラム(WFP)のジョアンナ・シーランの説明によれば「中流階級にとっては、そ
れは医療を切り詰めることを意味します。1日2ドルで暮らす人々にとっては、
肉を諦め、子どもを学校に行かせないことを意味します。1日1ドルで暮らす人
にとっては、肉と野菜を諦めシリアルだけを食べることを意味します。そして1
日50セントで暮らす人にとっては、完全な災厄なのです。」

 なんとか収入を1日2ドル以上に上げようとしてきた1億人もの人々は、自分
が貧困レベルに引き戻されてしまったことを分かっており、数百万人の自称"中
流階級"の人々はゆっくりと、そんな階級はなかったということに気づきはじめ
ています。

 富裕国においては自称中流階級の多くが、実際には、体面を保つために借金を
膨らませすぎた貧困な労働者階級であると報告されています。そして彼らの体面
とこれからの借金の可能性がボロボロになっているのです。

 2007年に主要なアメリカの新聞は、貧しい北米の子どもたちに影響を及ぼして
いる季節的な栄養不足のことを報道しています。季節的というのは、暖房用油の
費用のために下層階級のテーブルに出てくる食物が減るためです。飢餓と低体重
により、子どもたちは寒い家で体を充分暖かくすることができず、病気と飢餓、
自暴自棄が強められるという悪循環なのです。寒い季節には都市の貧困者を診る
小児科医によって栄養不足のお腹が定期的に観察され始めているのです。

 不足は貧困な国々の慢性的な問題ですが、2008年春には豊かな国々にも問題が
出てきました。日本は沢山外貨をもっているにも関わらず、バターと小麦の不足
に悩まされ、豊かな世界も食糧の輸入に頼っていることを想い出させました。供
給側の問題の多くは気候変動とエネルギー問題によるもので、高い飼料価格と長
引く干ばつで牧草がダメになったことでオーストラリアの酪農家が苦しんでいる
ためでした。

 食料品問屋での制限について逸話的な報道があった後、4月後半には配給が事
実上現われました。コストコ社の多くの店では、小麦粉、コメ、食用油や主要穀
物の不足を防ぐために販売数量を制限し、他の系列店を回って買いあさらないよ
う顧客の購買履歴を電子的に監視するようになりました。
これは食糧配給の最初の例ですが、最後のものではないでしょう。少なくとも金
融アナリストの内の一人は2008年の秋もコーンの不足が続くと予想しています。

 エネルギー供給の流れと食糧供給の流れは相互に絡み合っており、まさに直接
(ディーゼル燃料の価格が急速に上がるため)、間接(エネルギー価格高騰がバ
イオ燃料ブームを生んだ)に食糧危機を押し進めています。

 またそれらは米国と欧州を大きな不況に沈めると懸念されている住宅バブルの
崩壊と同じく、複雑に絡み合っており、郊外部のインフラからの通勤コストが高
いこともその原因の一部となっています。都市区域外の住宅のバブル破裂が最も
激しい一方で、都市に近い地域の住宅価格は現在のところ下がっていません。

 貧困世界での食糧危機がトップ記事になる一方で、そこでのエネルギー危機は
ほとんど気づかれていないままです。ますます多くの貧困国は単に、石油その他
の化石燃料を輸入できなくなっており、化石燃料の恩恵をゆっくりと着実に失い
始めています。
 国々でガスと電力、石炭不足が起きています。タジキスタンは記録的なこの冬
の寒さでしたが暖房油が不足し人道危機を起こしています。南アフリカは石炭供
給が不足したため電力生産が足りず停電しました。
「石油を食物に変えるプロセス」である工業的農業は、増大する需要を賄うため
に収量を増やすために苦闘し始めています。ますます多くのエネルギー(そして
収量を増加させるための貧しい農民にはより高くつく費用)を投資しながらも、
収量増加は着実に頭打ちしはじめています。
1960年代から毎年6%増加していた収量の増加は急速に伸びる需要に反して1990年
代に1-2%に下がりました。
 気候変動はすでに圧力が高まっている貧しい国々での収量をさらに脅かしてい
ます。バングラデシュは気候変動と関わりのある、繰り返される洪水に耐えてお
り、サヘル地域アフリカ諸国は干ばつが増加し、中国では砂漠化が進行しています。

 食糧とエネルギー供給のどちらも需要には対応できないことをあらゆる指標が
示しています。
 抑制されない気候変動がコメの収量を30%も減らし、飢えつつあるサヘルの食
糧生産は半分に減ると想定されます。解決策とされるGMO(遺伝子組み換え作物)
もわずかばかり収量が多い程度です。農地はますます消失しつつある一方で、世
界の穀物生産の30%は灌漑された土地で産出されているのに、帯水層は非常に減
耗しており10年後には供給できなくなるとされています。

 実際のところ、化石燃料化された農業のコストは急上昇し続けており、カリウ
ム肥料は1年以内に300%上昇するでしょう。農家にとってのブームと見えたもの
は、ますます当てにならない高値、借金漬けと商品市況の乱高下という悪循環の
スパイラルの始まりなのです。農家の借金は劇的に増えるでしょう。

 そうこうするうち、国々の食物を輸送する能力が疑問視されるようになりまし
た。トラック運転手の抗議行動は断続的で効果はなかったものの、ディーゼル燃
料の不足と精製能力の不足が予想されるため、食物が店頭に並ばないという事態
が起こる可能性が出てきました。

 それではこの物語の結末はどうなるのでしょう?あなた方が歴史の本でこれを
読んでいるのなら、どんな終りを期待しますか?

 この破壊がパニック小説のようにリアルには見えないということは、私たち自
身が災害後の新世代なのではない証拠になるわけではありません。

シャロン

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